ニートの食卓
下宿人
仕事に忙殺される日々。休日は昼過ぎまで死んだように眠り、溜まった家事や食料品の買い出しなどで1日が終わる。こんな生活なので、預金は増える一方だった。
しかし、いつまでもこんな生活しているとそのうち死ぬなあという直感があった。このままゾンビのように惰性で働き続けたほうがある意味精神的には楽なんだろうなと思ったりもしたが、人間として生きていきたいと思い、仕事を辞めた。
ある程度金があるとはいえ、フラフラとした無職生活をできるだけ継続したい。節約生活が始まった。
まずは固定費で一番お金のかかっている家賃を減らすため、地域最安レベルのアパートに引っ越した。築年数は相当なもので、趣もあるが傾きもあるアパート。
あとは食費も抑えたい。そうなるとやはり自炊が必要になるが、このアパート、キッチンがとても狭い。一口コンロを設置するくらいのスペースはあるが正直きつい。ということでコンロを使わないでできる料理で生活していくことになった。調理器具は電子レンジと炊飯器、電気ポットのみを使用して自炊をしている。
そんな環境で最近作ったり食べているものを紹介する。
①もやしたまご炒めっぽいもの
もやし1袋を耐熱皿に入れ、電子レンジで1~2分チンする。卵2個を割り入れ、醤油、塩胡椒をして、もやしとよく和える。1~2分チンして完成。ラー油をかけてもおいしい。
②野菜と肉をチンしたもの
カットした野菜(たまねぎとにんじんはマスト。あとはキャベツや白菜など)を耐熱皿に入れ、塩胡椒をして、やわらかくなるまでチン。さらに肉(豚小間肉、鶏胸肉など安い部位)を加え、醤油または味噌を投入のうえチンして火が通れば完成。
カレールーで味付けしてもおいしい。この場合は、肉に火が通ったあとにカレールーを溶いて(野菜の水分が出ているので足りると思うが、足りなければお湯を足す)、その後1分程度チンするといい感じになる。
葉物野菜はチンすると量が減るので、ちょっと多いかなと感じるくらいでちょうどいいと思う。
たまねぎとにんじんを食べていれば、栄養的には大丈夫そうという謎の安心感があるのでほぼ毎日作っている。
③かんたん漬物
野菜(きゅうり、白菜、キャベツ、大根、かぶなど)を食べやすい大きさに切ってポリ袋に入れ、塩昆布を加え、軽く揉む。冷蔵庫に入れておき、しんなりしたら完成。
④オムレツのようなもの
ダイソーなどで売っている「レンジで目玉焼き」的な容器に卵2個を割り入れ、塩こしょうして適度にかき混ぜる。1分程度チンして完成。チンする時間は、レンジの機種や卵のサイズなどによって微調整が必要だが、何度かやっているとなんとなく感覚が分かってくると思う。チーズやハムを入れても美味しい。
目玉焼きもやったことがあるが、破裂してレンジ内が大惨事になって以来作っていない。
⑤温やっこ
豆腐に醤油をかけてチンするだけ。簡単で美味しい。木綿豆腐の方が食べ応えあって好き。外側は醤油の塩分により水分が抜けて固くなる一方、中はふんわりやわらかいので厚揚げのような感じになる。
⑥サバ缶カレー
カットした玉ねぎとニンジンを耐熱容器に入れ、やわらかくなるまでチン。サバ水煮缶(汁も)とカレールーを加え、ルーが溶けるまで混ぜ、チンして完成。安いサバ水煮缶はクセのある匂いがありがちだが、カレーにするとむしろおいしく感じるのでおすすめ。
⑦きのこと塩昆布和え
きのこ(しめじ、えのき、まいたけなど)をほぐして耐熱皿に入れる。塩昆布を混ぜて、醤油を少しかけてチン。ご飯によく合う。
⑧ふかしいも
洗ったさつまいもを水で濡らしたキッチンペーパーで包む。その上からラップで包んでチンする。余ったらマッシュして冷凍保存もできる。
⑨手抜き切り干し大根の煮物
切り干し大根を浸るくらいの水に浸けてしばらく放置。水を吸って少し柔らかくなったら、切ったにんじん、油揚げを加える。醤油などで味付けしてレンジでチン。水気が飛ぶくらいのタイミングで完成。
私は調味料をあまり増やしたくないので醤油だけで味付けしているが、みりんや酒を加えたり、めんつゆで味付けしたほうがおいしくなる気がする。
⑩米
白米の場合は炊飯器で3合炊いている。5分割くらいに小分けにして冷凍保存している。
今食べている米はふるさと納税の返礼品でもらったものだが、20キロ届いたのでなかなか減らない。そのまま袋で保存していると虫にやられそうなので、ペットボトルに移し替えて保存している。
炊きこみご飯も作る。よく作るのは、乾燥桜えびと塩昆布の炊き込みご飯。炊飯器に洗った米と白米と同様の水量をセットして、乾燥桜えびと塩昆布を入れて炊くだけだ。手間はほとんどかからないが、ちょっと贅沢な気分になれる。
⑪トマト
生で食べている。トマトは、食生活がワンランクアップする気がする。
⑫納豆
毎日1パック食べている。昔住んでいた地域では、からしやたれが付いていない納豆(その分安い)があったのでよく買っていたが、今住んでいる地域では売っていないのが残念。それでも納豆は安いので助かる。
⑬アボカド
包丁で半分に割って、種のあった部分のくぼみに醤油を垂らしてスプーンで食べる。油分が多いので、これだけで結構お腹いっぱいになる。
⑭果物
通年で購入するのはバナナやキウイが多い。これを書いている現在は冬なのだが、りんごやみかんをよく買っている。冬は鬱っぽい気分になりがちだが、果物を食べると少し改善されるような気がする。
ざっと挙げてみた。栄養バランスはあまり考えていない。タンパク質が不足しないようにということを心がけているくらいだ。こんな食生活だが、今のところ健康である。意外と電子レンジ料理だけでも生活できるものだ。
当たり前に必要と思っているものが、実際はなくてもなんとかなるということは意外と多い。私にとって、コンロはそんなもののひとつだった。
絶対必要だと感じるものが少ないほうが、お金がかからないので生きていくハードルは下がる。お金はあるにこしたことはないが、必要以上に稼いで、そのために命を削ってもしょうがない。
なくたっていいか、どうにかなる。そんな心持ちでゆるっと生きていきたい。